ADRENALINE25.10.2 VS 25.9.1 小規模変化に見せかけた地殻変動-解説編

いやね、動画にしようと思ったらね、まさかまとめてる最中に新型のADRENALINE来ると思わなくてね…。
はい、動画間に合いませんでした。

ですが、一応ADRENALINE25.10.2についてはデータを取ってはあるので、そのデータについて公開していこうと思います。

先にざっと結論を言うと

って感じですね。

なんでこんなに大げさな、って思うかもしれませんが、その理由はただ一つ、しれっと導入されたこれです。

9000番台にのみ投入された新技術「Work Graph」の初期実装、これです。
これがとにかくでかい、シャレにならんレベルででかい。

こっちはまさに使用GPUがRX9070XT、もうドンピシャなわけだから気になります。
では、これによってどう変わったのか、じっくり見ていきましょう。

WorkGraphとは?

そもそもじゃあこのWork Graphって何よ、という話になってくると思います。

これは簡単にいうと、今までCPUがコンダクターだったことで描写してたものを全部GPUに任せる、というシステムの大幅な改造プランです。

これはAMDがメインになって進めた企画ですが、NVIDIAも参画を決めており、そもそもこれを協力にバックアップしたのがマイクロソフトなので、実質的には三社完全合意のもとに進められていく新規格と思っても大丈夫です。

今まではCPUがGPUに命令を出して描画を行っていました。
しかしこの処理をなくし、ワークグラフに対応しているソフトに対してはCPU処理を低下させ、GPUにすべて描画させる、というのがこのシステムです。

基本的にはこのシステムはDirectX12で、ワークグラフが有効になっている場合にのみ作用する、というのが本来の形です。
これが作用すると描画命令の多くがGPU単独で行われます。

つまりGPUに処理に委ねることでCPUへの読み込みを少なくさせて、描画効率を上げる、というのが正しく起動した場合の結果になります。
その結果、本来でしたらCPUの使用率は大きく低下する、というわけです。

ただしその分VRAM、及びメモリの使用量は当然のことながら増大します。
そのためにしっかりメモリとの強調連動が前提になった設計のRX9000番代が今回の対象となった、と言えますね。

じゃあこのワークグラフを持っていないものはどうなるかといえば、基本的にはそのままの処理になります。

しかし、先に今回のバージョンから言っちゃうと、GPU主導にならずにCPUへ命令の逆流が起きた結果、描画命令の無駄な多発が発生し、CPUの負荷が限界に達してFPSが落ちた、というゲームもありました。
その点においては今後のドライバで改良を重ねて欲しいところですね。

今回のベンチについて

まずはベンチマークについてですが、今回はCPU使用率が非常に重要になってくることから、ゲームについてはCPU使用率についてを徹底的に解説しています。
そのためいつもよりだいぶ長いので、ご了承ください。

3D MARK

今回も5種類で計測しています。

DirectX11に関しては物理スコアが11%上昇したほか、その他の数値は1%ほどの上昇となっています。

DirectX12はCPUスコアが3.1%上昇した以外は誤差範囲です。

他の三種のFPSはDirectX12アルティメットが1.8%低下しましたが、それ以外は1%の上昇となっています。

レイトレのスコアも1.3%の上昇です。

結果としてはそこまで大きな変動はありませんでした。
ただDirectX12におけるCPUスコアの上昇値が顕著なのは少し気にかかりますね。

AMUSE

これに関しても劇的な変化は見られませんでした。
やはり25H2からNPU経由になったと思われることが、多分に影響してそうな時間ではありますね。

サイバーパンク2077

まずはベンチマークモードから比較していきます。

CPU使用率は最大でレイトレありで18%、レイトレなしで23%低下となり、平均でもレイトレありで24%、レイトレなしで22%の低下となりました。

全スレッドでのCPU使用率も最大で7~9%、平均で9~11%の低下となっています。

GPUに関しては相変わらず全開で回り続けている感じです。

最大FPSはほぼ誤差範囲ですが、1%LOWの値が1.2~2.4%の上昇となっています。
CPU使用率は低下したものの、GPU使用率が高止まりしていることで、そこまで伸びなかったのかな、という感じですね。

VRAM使用量は5~6%近い上昇幅になっており、結構カツカツに動いているのがわかります。

メモリ使用量も増加傾向で、レイトレありのときは最大で2.5%の上昇となりましたが、レイトレなしの場合9.7~10%近い上昇幅となっています。

このようにこのゲームはベンチモードだけでもWorkGraphが、かなりみっちり効いているのがわかります。

実際のプレー結果だとこんな感じです。

最大で11~13%、平均でも17~18%のCPU使用率低下です。
結構プレーでも落ちているのがわかります。

全スレッドで最大6~8%、平均で9~10%の低下です。

これもGPUは変わらず高止まりです。

FPSはほぼ誤差範囲です。1%LOWが約1.5%ほど変動があったくらいですね。

VRAMはほ最大3.6~4.5%、平均で4%前後の伸び率となっています。
レイトレありのときはもう16GBはギリギリです。

メモリ使用量は10~16%の上昇です。
一気に5GB台に到達しており、特にレイトレなしでの増加幅が顕著です。

このようにこのゲームは典型的なWorkGraphが効いているゲームと言えます。
ただFPSがそれほど伸びなかった要因として考えられるのは、VRAM使用量がカツカツな上にGPU使用率の高止まりが要因であると考えられます。

つまりCPUにゆとりがあってもGPU側にゆとりがそれほど持てなかったことで、そこまで伸びなかった、と考えるのが妥当かと思います。

黒神話悟空ベンチ

サイパンと比べても、より劇的に落ちているのがよくわかります。
平均値で6~22%、最大で21~29%と結構な低下幅です。
特にレイトレなしでの大幅なダウンが効いている感じです。

全スレッドでも2~9%の低下です。
レイトレなしの時の低下幅がこっちでも大きいです。

GPU使用率もこれは低下しました。
ただ最大値は減っても平均値は変化無し、ないしは増えている、という形ですので、遊んでいる、というわけではない感じです。

で、これらが連動した結果、FPSはレイトレありのときに顕著に伸びました。
レイトレなしでも伸びており、平均で1.8~6.8%、1%LOWでも3.8~11%とかなり強烈な伸びになっています。

まさしくこれぞWorkGraphが効いているという典型的な結果になりました。
元からVRAMにゆとりがあったこともあって、VRAM使用量は15.4~23.8%と伸びています。
しかし、それでも最大12GB台とまだゆとりある感じです。

メモリ使用量はレイトレありの時が顕著に伸びています。
レイトレなしだと2%台ですが、レイトレありだと12%台と大きく伸ばしました。

これらからこのベンチマークはわかりやすいほどに結果に出たなと言う感じです。
サイパンのようにVRAMがカツカツでなければ結構伸びるということを見せつけられた感じですね。

Forza Horizon5ベンチモード

レイトレなしのときに最大値は4%上がりましたが、レイトレありのときは最大値6%も低下しています。
平均値はほぼ変化無し、という感じですので、部分的にWorkGraphが効いているのかもしれません。

全スレッド使用率では1~2%の低下となりました。
これもある程度の部分的なWorkGraph関与と考えるのが妥当かと思います。

GPU使用率には変化はありませんでした。

FPSは1~5%の上昇となっており、きっちりWorkGraphが働いている、と見るのが妥当でしょう。

VRAMは信じられないレベルで増えました。
9%近い上昇幅になっており、レイトレ有無かかわらず15GB台とかなりカツカツです。

メモリもかなり潤沢に使用している形になっています。
上昇幅なんと57~58%という驚異的な伸び率です。

これらも合わさってこのゲームもWorkGraphを用いていることはほぼ間違いなさそうです。
VRAMとメモリの協調連動がとにかく重要になる、ということがよく分かると思います。

FF14黄金ベンチ

本来だったらDirectX11ですので対象外なのですが、妙な結果が出ました。

平均で最大値3.4%、平均値でも0.4%の低下となっています。
何故か対象外のはずのDirectX11までCPU使用率の低下が起こっているのです。

全スレッドの場合、平均値は0.2%の上昇と誤差範囲ですが、最大値で1.8%の低下になっています。

GPU使用率も上昇傾向で、0.2~0.4%上昇しています。

FPSは誤差範囲でほぼ変動はありません。

VRAMについては16%台の上昇と、GPU使用率の上昇が絡んでいる可能性は否定できないかと思います。
しかし、それでもいくらなんでもこの上昇率はそれだけではない、という気がします。

メモリ使用量はほぼ誤差範囲です。

レポート上FPSは最小値が3.8%の上昇となりましたが、平均値は誤差範囲です。

スコアも誤差範囲に収まりました。

このことからするに、多分このアップデートではほぼ一律でどのAPIで動いているか関係なくCPU使用率を下げて、VRAMをガンガン使う、という方針になっていると考えられます。
新技術を登用した初期動作不良の一種、と考えるのが妥当かと考えます。

アリス・ギア・アイギス

これも対象外のAPIであるOpenGLですが、またこれも奇妙な結果です。

CPU使用率は平均0.5%、最大3.5%低下と結構な低下幅になりました。
特に単独戦闘での低下幅が顕著です。

全スレッドでは最大値こそ0.25%の上昇ですが、平均値は1.5%の低下です。
これからもAPIに関わらず今回のデータはCPU使用率を一律に下げた、という感じですね。

GPU使用率もこのゲームの場合は下がっています。
平均で1.5%、最大で3.75%とかなりの低下幅です。

これらCPU及びGPU使用率の低下が顕著に響いた結果、FPSは最大7.6%、平均10%近い低下となりました。

VRAM使用量も5~6.6%の低下となっており、GPUの低下に巻き込まれた、という感じですね。

メモリ使用量は約2%の上昇です。

このことからこのゲームも今回のアップデートで対象外APIにも関わらず影響を受けた典型例と言えます。
多分今回のアップデートはAPI関係無しに下げるという方向に行き着いている、という感じの動きです。

エーペックスレジェンズ

最大値は5%低下しましたが、平均値は3%の上昇です。
WorkGraphを使っているかは少し疑わしい感じのCPU使用率です。

これも単独スレッドとほぼ同等の動きです。
スパイクが減って安定した、という風にも捉えられるかと考えます。

GPU使用率は平均、最大共に1%の低下です。

FPSは1%LOWの低下幅が大きく、7.6%の低下となっています。
最大値も減っており、WorkGraph使用ではない、ということがわかります。

一方でVRAM使用量は25%以上の上昇と極端に増えました。
このことからDirectX関係だと、WorkGraphの有無問わず一律でVRAM使用量を増やしている、という可能性が浮上してきます。

メモリ使用量は1.2%ほどの低下です。

これらの挙動からのこのゲームがWorkGraphを採用していないのはほぼ間違いありません。
ただVRAMは一律で上がる、という挙動変化は見受けられましたので、少々注意が必要かと思います。

ストリートファイター6

これもAPEX同様に平均、最大ともに上昇しました。
特にワールドツアーでの伸び率がかなりのものになっています。

全スレッドでも同様で、最大値の上昇が顕著です。
4%の上昇はかなりの幅、といえるでしょう。

GPU使用率は平均では下がりましたが、最大ではわずかに上昇しています。
ただ全体から見るとほぼ誤差範囲です。

FPSは1%LOWの低下が約2.6%とまぁまぁの値があります。
一方で最大値は誤差範囲でした。

フレームタイムは1%LOWが若干低下しましたが、ほぼ誤差範囲、といっていいでしょう。

やばいのはVRAM使用量です。
なんと20%以上も上昇しており、16GBのVRAMだともうカツカツです。

メモリ使用量も4.6~6.1%の上昇と、VRAMで処理しきれない分を回している、という挙動が見て取れます。

多分このゲームの挙動からするに、DirectX系は一律でVRAMの使用量を上げるシステムになっていると見てほぼ間違いなさそうです。
それに対してFPSの上昇が鈍化していることからも、このゲームはWorkGraphは採用していないと見るのが妥当でしょう。

グラブルリリンク

DirectX11ながらこのゲームも上がりました。
最大で10%、平均で1%の上昇です。

一方で全スレッドの使用率は低下傾向です。
特に最大値での低下が顕著で、スパイクが少なくなっているのがわかります。

GPU使用率に変化はありません。

単一スレッドでのCPU使用率が上昇したせいか、FPSは平均値が2.2%上昇しました。
1%LOWは誤差範囲です。

VRAM使用量は14%の上昇となっており、これもFPS上昇に寄与した可能性があります。

メモリ使用量も12.7%の上昇となっていることから、FPS向上にこれも寄与したかもしれません。

DirectX11であるこのゲームまで上がっていることから、DirectX系列は一律で今回VRAMやメモリを潤沢に使用する方向にドライバが動いている、という可能性は濃厚です。

アーマードコア6

CPU使用率は平均24%、最大20%の上昇となりました。

全スレッドの使用率では平均は4%、最大3%の上昇となっています。

GPU使用率は平均が1%減少しましたが、それ以外で変化はありません。

FPSは最大が3.4%低下しましたが、1%LOWはほぼ誤差範囲に収まっています。

VRAM使用量は5.5~5.7%の上昇となっており、やはり一律に上がっています。

メモリ使用量は約5%の上昇です。

このようにAC6でもCPU使用率などの上昇が見受けられましたが、FPSに関しては極端な程には低下していません。
おそらくこれはスレッドのマルチでの分散が上手く働いた結果ではないかと推察されます。

デモンエクスマキナ・タイタニックサイオン

CPU使用率は最大48%、平均でも21%と大幅な上昇となりました。

全スレッドも今までのデータよりも顕著に上昇しており、こちらは平均10%、最大21%の上昇となっています。

一方でGPU使用率は平均で2%、最大で1%低下しており、少し遊んでいる印象があります。

これらの結果からFPSは大幅な低下となりました。
平均11%、1%LOWで9%の低下と今までよりも低下幅が大きくなっています。

VRAM使用量は2.5~3%の上昇に収まっています。

メモリ使用量は最大20%、平均で19.5%の上昇となっています。

このゲームの場合、FPSが下がった要因として考えられるのは、CPU使用率の大幅な増加です。
VRAMで動かすことを前提にした設計であると考えられ、この点からVRAMに関しては上昇幅は少なかったものの、CPU使用率及び全スレッドでも使用率が上昇したことから、描画処理に対して負荷が増大し、結果命令待ちの状態が多発、そしてFPSの低下につながったのではないかと考えられます。

AC6の場合、CPU単独では上がっても、全スレッドで受け止める形ができていたことでFPSの低下が最小限で済んだ、と考えるのが妥当かと思います。
ここらへんはゲームのエンジン設計の問題になってくるかな、という感じですね。

真・三國無双ORIGINS

CPU使用率は平均8%、最大25%の上昇となりました。
WorkGraphを積んでいない典型的パターンと言えます。

全スレッドも平均2%、最大3%上昇していますが、単一スレッドの動きから見ると緩やかです。

GPU使用率に変化はありません。

FPSは平均値が1%ほど上昇しましたが、ほぼ誤差範囲です。

VRAM使用量は2~2.5%の上昇と比較的緩やかになっています。

メモリ使用量は2.5倍以上に膨れ上がりました。
どうもこのゲームはメモリ使用量が安定しません。

これもAC6同様に全スレッドで受け止めるという方針であったことからFPSの低下を免れた、というより上昇したと言えるでしょう。
CPUを如何に使っているかで明暗がくっきり別れた、とも今回は言えそうです。

全平均

では、すべての結果についての平均です。

全部の平均FPSは1.5~2%ほどの低下となりました。
WorkGraphに対応していないゲームの結果をモロに受けた、という結果になっています。

VRAM使用量はとにかく一律で増加です。
実に10%近い伸びになっており、マジでDirectX関係なら問答無用で増やした、という形跡があります。

メモリ使用量は18%の増加となっており、VRAMで処理しきれなかった分をメモリで処理していることが顕著に現れていると言えます。

ベンチマークのみに絞った場合だとFPSは1%以上、レイトレなしの場合だと1%LOWが3%も上昇していました。
これはベンチマークに用いたソフトがほどんとWorkGraphに対応していたことを如実に表していると考えられます。

ただしVRAMも当然上がりました。
10~12%の上昇となっており、GPU処理に委ねた結果が出ていると言えるでしょう。

メモリ使用量は22%の上昇です。
これもVRAMで処理できない分を処理した結果と言えます。

実ゲームの結果ですと、FPSは4~5%の低下となりました。
WorkGraph対応ゲームの少なさが出た結果と言えます。

VRAMに関しては9%の上昇です。
WorkGraphの有無に関わらず、GPUに処理を委ねている結果と言えます。

メモリ使用量は14~15%の上昇です。
やはりこれもVRAMで処理しきれないものを処理しているために伸びたと考えられます。

まとめ

今回のまとめはまさにこれです。

とにかくメモリの重要性が増した、そんな結果になりました。

GPUに処理を委ねた結果、VRAMの使用量が上昇し、それで処理しきれない分をメモリで賄うという協調連動が重要視されるこのシステムでは、とにかくメモリは多く積んでおくに越したことはないかな、という感じです。

WorkGraphが広がれば今後はよりFPSは伸びるでしょうが、現状のドライバは全部一律で伸びているため、WorkGraphの有無に関係なくVRAMもメモリも食う結果、FPSが下がるという事例も見受けられました。

せめてWorkGraphを使用していないもののCPU使用率が下がればどうにかなる気はするんですが、流石に新技術だけあって当面改良はかかるかな、という感じですね。

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